今日は六本木である方とランチのお約束。ある方とはもう20年近く前になるだろうか、お互いが愛用している帽子、そのデザイナーのトークショーで出会った。場所は銀座松屋、帽子デザイナーの名はAKIO HIRATA。偶然隣り合わせ意気投合して住所氏名を交換した。それから年賀状のやり取りを。でも直接御目に掛かる機会はなく歳月は流れ、2年前のお賀状に「今年90になるので年賀状は最後にします」と言ったご挨拶があった。卒寿のお祝いに本当に心ばかり、封書で郵送できるものをお送りした。それがきっかけで以前より頻繁に書簡のやり取りをするようになり、ついに再会の機会を得ることとなった。ご高齢でいらっしゃるしご自宅の近くでランチでもと思い、ご都合でお店を決めていただきたい由お手紙で申し上げた。するとほどなくしてお電話をいただいた。なんとご予約してくださったのは六本木の高級ホテル45階のフレンチ!隣接の商業施設はお気に入りでよく出かけていたけれど、ホテルには足を踏み入れたことがない。どきどきしながら伺う。すると一足早くお相手は到着していらっしゃった。最初にお目にかかったときとまったく変わらない佇まい。テーブルにつくと、シェフをはじめお店の方々がご挨拶にいらっしゃる。92歳にしてしなやかにご自分の脚ですくっと立ち、日々の暮らしを丁寧に楽しんでいらっしゃるご様子。確固たるご姿勢ながら頑なではなく、静けさの中にみずみずしい感性も未だ旺盛で。これからの人生をどうゆう心持ちで歩んで行くべきか悩んでいた私にとって、まさに目標たる方だった。彷徨えるものに確かな指針を与えていただいた。霧が晴れた心持ち。今まさに20年近くの時を経て再会が叶ったのは、こうゆうことだったのかと得心。非常に嬉しくありがたい再会となった。
亡き父と同年だったこと。お母様が私と同郷だったこと。同じく表千家のお茶を長く嗜んでいらっしゃったこと、なども分かり一層距離が縮まった。偶然が必然になった日。