やぎが突然「あなたがイタリアでリンゴをもらったのはいつどこでだったっけ?」と曰う。あるときある場所でおじさんにリンゴをもらったのは鮮明に覚えているけれど、それがいつ、どこでだったかどうにも思い出せない。記憶の宮殿をさまよっても一向に扉は開かず。一風呂浴びれば思い出すかもと湯に浸かる。でも全然ダメだ。ところがやぎが探し出した。それは2007年10月5日(金)晴れた日のベルガモはサン・ヴィジリオの丘での出来事だった。ベルガモといえば新型コロナウイルスの惨禍を思い出す。彼の地の旅で出会ったひとたちはどうしていらっしゃるだろうか。ベルガモに限らず旅先で言葉を交わした人々、親切にしてくださった方々のことを頻繁に思い出す。何とかやり過ごしていらっしゃることを心から願う。お元気でお過ごしのことを心から願う。差し伸べてくださったあたたかな手を思い、やさしく微笑んでくださったお顔を想う。