万物生・ばんぶつしょう (2016.04.14 Thu.)

「雨の名前」という本を持っている。小学館から出ている本で、高橋順子という方が文章を書いて、写真は佐藤秀明さんという方。もう随分前に買ったものだが、お気に入りの一冊。高橋さんの文章も佐藤さんの写真もいい。何よりこんなにもたくさん「雨」に名前があるのがいい。

万物生
春の雨をいう。生きとし生けるものに新たな生命力を与えるということだろう。ものみな萌えいずるとき、しかし春はまた残酷な季節でもある。昭和十四年、詩人立原道造は、東京・江古田のサナトリウムの窓から青みはじめた麦畑を見つめながら、二十四歳の生涯を閉じた。「五月の風をゼリーにして…..」とつぶやきながら。(以上「風の名前」から抜粋)

と高橋さんは書いている。切ない。私は立原道造さんの倍を優に生きていて、日ごとに変化する庭の様子を楽しんでいる。小さな庭だけれど、まさにワンダーワンダー。そして、人間の、ちっぽけなことを思い知る。