“ブレッドはパン探偵”(2019.01.04.Fri.)

by いしいしんじさんを読む。師走に進々堂さんから持ち帰った無料配布の短編小説。いしいしんじさんが進々堂さんのために書き下ろしたもの。その三作目。いいお話です。

それにしてもこのパンにまつわる短編小説の無料配布、なんてステキなプロジェクトなのでしょう。最近何かと悪役にさせられる小麦粉ですが、そういう私もちょっと距離を置こうなんてときどき思ってしまうけれど、パンの焼きあがる芳しい匂い(東京暮らしの頃は度々林檎酵母のパンを焼いていた)、頬張ったときの幸せな気持ち、大好きなイタリアのその土地その土地のPane/パーネ(イタリア語のパン)、そんなあれこれが蘇ってきて…「パンさん、ごめんなさい。」と思わず呟いてしまいました。

ちなみにスロー発酵の天然酵母パンは特に、焼き上がりよりも数日経ってからの方が美味しい。かぐわしい焼き上がりの匂いを楽しみ、パンが冷めて落ち着いたらリネンで包んでおく。少しづつ切り分けて味の変化を楽しむ。硬くなったパンを美味しく食べるためにレシピができそれがまた文化になる。そう言うところもパンの魅力。ただしついつい食べすぎてしまうのがパンの魔力(苦笑)