最後の朝食を取り、お会計。シニョーラの居住空間へ一歩入る。楽しい滞在だったかしら、とシニョーラ。歴史や古いものが好きなのでとても楽しかった、と答える。するとシニョーラが、あらそれは残念!歴史が好きだったらもっといろいろお話ししたかったわ、と。只者ではないと睨んでいたらやはり只者ではありませんでした。シニョーラは歴史家で今も研究を続けていらっしゃるそうだ。ご夫君のご先祖様についても研究され、その結果が出版された。ご先祖様は、貴族で銀行家で“カラヴァッジョのパトロン”のお一人!購入できたら買い求めたいとお聞きしてみたら、なんとなんと、プレゼントしてくださるという。固辞したけれど、ぜひにとおっしゃるので有り難く頂戴することに。
お客様を迎えるときはここでお食事をするのよ、ゲストはこの場所、窓からの眺めが素敵でしょ。向こうは図書室。洗礼堂もあるのよ、と見せてくださる。古い館に住み続けられるのはとても幸せなことだと思っている、とシニョーラ。エレガントで聡明で行動的なシニョーラだから守り続けられるのでしょう。名残惜しいけれど駅に向かわなければ。今日は鉄道でニースまで戻り、飛行機でパリへ。もう一度お礼を述べ、シニョーラと記念撮影。日本の方はこういうことはなさらないかしら?とうれしい大きなハグ。シニョーラとのお出会いの為に、15年ぶりにアルベンガを訪れることになったのだろうか。ご縁の不思議を思いつつ、アルベンガに別れを告げる。