Josko Gravner Gala Dinner (2013.01.24 Thu.)

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リストランテオルトさんでヨスコ・グラヴネル氏を囲んでのメーカーズディナー。グラヴネル家はフリウリ東部ゴリツィア県の東端、スロヴェニアとの国境に位置するオスラヴィアで1901年よりヴドウ栽培、ワイン造りを行ってきた。ヨスコさんは1985年、父親からワイナリーを継承し今に到る。ステンレスタンクを経て、2001年からはアンフォラで醗酵を行い大樽で熟成。使う酵母は100%自然酵母(lievito naturale)。畑では一切の農薬を使わず化学的な肥料はもちろんのこと堆肥もまったく使用せず。インポーターの資料によると使うのは銅と硫黄物を最低限のみとのこと。この二つがどういうものでなぜ使用するのかお聞きするのを失念してしまった。以下、当日直接ご本人から伺ったお話しのメモ及び配布資料から。

●水がとても重要。水かあることにより自然のサイクルが生まれる。17haの畑に池が幾つもあり、200個の鳥の巣が確認されている。鳥は有害な虫を食べてくれる
●芽が出てから収穫までに長ければ長いほど複雑さを持ったよいブドウができる。完熟したブドウはバランスが取れているので人為的なコントロールは不要
●17haの畑で、生産量は2万5千から3万5千。一般的な生産者だと17万本程度
●2006年ヴィンテージから熟成(maturazione)期間はは7年、1年アンフォラ、6年大樽。除梗 (じょこう)した果実をアンフォラに入れマセレーション(果皮浸漬)パンチングダウン(櫂入)を行い醗酵。圧搾後に再びアンフォラに戻し秋まで熟成、その後大樽に移し長期熟成
●貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌)がついたブドウを使用。ただし50%を越えると醗酵せず。貴腐菌はブドウの水分を取りミネラルを与える。ちなみに黒ブドウには貴腐菌はつかないと聞くが、後から調べたところどうやら黒ブドウにつくとブドウがダメになるらしい。これは要追跡調査
●自分のためい造り余ったものを売るという姿勢(売るために造る、のではない)
●使用しているアンフォラはコーカサス産 コーカサスには千種類ものブドウ品種があったがここ50年で半分に減少
●ワインはアナトリア→ギリシャ→イタリア→ヨーロッパ全土、という流れ

■当日のワイン(インポーター配布資料より、イタリックは著者メモ)
1)Breg ’98 DOC Collio まだまだフレッシュ 琥珀色 オレンジの皮の香り
品種 ソーヴィニヨン・ブラン38% シャルドネ34% ピノグリージョ20% リースリングイタリコ8%
収穫 10月上旬から下旬
醸造 除梗後開放式大樽にて12日間のマセレーション、途中パンチングダウンを行いつつ自然酵母によって醗酵が始まる。その時、温度コントロールはしない。圧搾後、大樽にて澱引をしながら36ヵ月の熟成。ノンフィルターにてボトリング。
メモ ヨスコ自身のカンテーナにストックしてあったもの、昨年の98リボッラリゼルヴァのリリースに合わせて少量のみリリースされたワイン。2001年にリリースされたものとワインとしては同じ。

2)Breg ’05  IGT Venezia Giulia(すごい暑い→雨多い→再び暑ささらにハーブの香り ゴボウの香り
品種 ソーヴィニヨン・ブラン45% ピノグリージョ22% シャルドネ18% リースリングイタリコ15%
収穫 10月上旬から下旬
醸造 除梗後土中に埋められているアンフォラに入れマセレーションを行う。途中パンチングダウンを行いつつ自然酵母によって醗酵が始まる。その後、日々櫂入れを繰り返しつつ6ヵ月間のマセレーションの後に圧搾。一度澱引きした後アンフォラに戻し、9?10月まで熟成。その後アッサンブラージュし大樽の中で48ヵ月の熟成。年に一度の澱引きを行い続け、ノンフィルターでボトリング。途中一切の温度管理はなし。
メモ 04のリリースより、熟成期間を段階的に引き延ばしている。05は12ヵ月延ばし5年間のサイクルにてリリース。06は24ヵ月延ばし計7年にてリリース予定。

3)Ribolla ’04 IGT Venezia Giulia (寒い年、特に夏 雨多し) グレープフルーツ、レモンの皮 リコリス 酸多し
品種 リボッラジャッラ100% (リボッラジャッラは千年の歴史がある土着品種
収穫 10月上旬から11月中旬
醸造 除梗後土中に埋められているアンフォラに入れマセレーションを行う。途中パンチングダウンを行いつつ自然酵母によって醗酵が始まる。その後、日々櫂入れを繰り返しつつ6ヵ月間のマセレーションの後に圧搾。圧搾後、大樽にて澱引きをしながら42ヵ月の熟成。ノンフィルターにてボトリング。途中一切の温度管理はなし

4)Ribolla ’05 IGT Venezia Giulia 酸は04より少ない
品種 リボッラジャッラ100%
収穫 10月上旬から11月中旬
醸造 除梗後土中に埋められているアンフォラに入れマセレーションを行う。途中パンチングダウンを行いつつ自然酵母によって醗酵が始まる。その後、日々櫂入れを繰り返しつつ6ヵ月間のマセレーションの後に圧搾。一度澱引きした後アンフォラに戻し、9?10月まで熟成。その後澱引きとともに大樽に移し48ヵ月の熟成。年一度の澱引きを行い続け、ノンフィルターにてボトリング。途中一切の温度管理はなし
メモ 04のリリースより、熟成期間を段階的に引き延ばしている。05は12ヵ月延ばし5年間のサイクルにてリリース。06は24ヵ月延ばし計7年にてリリース予定。

5)Rosso Gravner ’00 IGT Venezia Giulia ルビー色 きれいなワイン
品種 メルロー90% カベルネソーヴィニョン10%
収穫 10月中旬
醸造 除梗後開放式大樽にて21日間のマセレーション、途中パンチングダウンを行いつつ自然酵母によって醗酵が始まる。その時、温度コントロールはしない。圧搾後、大樽にて澱引をしながら52ヵ月の熟成。ノンフィルターにてボトリング。
メモ 白ブドウは6ヵ月間のマセレーションに耐えられるが赤ブドウは、あまり長くすると抽出された色がブドウに戻ってしまい色のないワインになっしまうため、マセレーションは比較すると短い。生産本数3,600本

将来的には白ワインはリボッラジャッラのみ。現行の赤ワインの生産はやめて、今年ピニョーロの赤がリリース予定。