ご近所ネコちゃん。引っ越してきてから三匹のネコが日々の暮らしの一コマだった。「フクちゃん」そして「コニャン」と「ニャンニャン」。名前はきっと幾つかもっている。2018年10月に「フクちゃん」との別れが訪れた。その後はそれまで以上に仲睦まじい「コニャン」と「ニャンニャン」だった。ある日ずいぶんと弱った「コニャン」に出会った。見る影もなく痩せ細ってしまっていた。面倒を見ていたご近所さんが病院へ連れて行こうとしたけれど、そのときばかりはぴゅっと、どこからそんな力が出るのか不思議なほどの素早さで、逃げていってしまう。それから程なく6月のある日、「コニャン」も旅立ってしまった。一匹残された「ニャンニャン」が、夜になると決まって鳴き出す。切ない鳴き声にこちらまで泣けてくる。階段のたたきに二匹揃って鎮座して、近づくとじりじりと離れていく。最初の頃のようにだっと走って逃げ出しはせず、見知ったヤツ、というくらいには覚えてくれていたと思う。手を振ると「ニャンだ、またお前か。手を振るだけでエサをくれないヤツだニャ」と声が聞こえてくるような眼差し。もうその眼差しに出会えない。「コニャン」がいなくなってから「ニャンニャン」のお出ましもぱたっとない。寂しい限りである。