鯛の唐蒸し (2013.03.19 Tue.)

義母の傘寿の祝いで訪れた加賀山代温泉のあらや滔々庵。そこで夕食に加えてくださった一品が鯛の唐蒸し、北陸地方の祝い席での郷土料理だそうだ。この日にご用意くださったのは大きな鯛を使って一人一人が取り分けられるようなスタイルのものでしたが、オリジナルは鯛一匹丸ごとの姿、らしい。鯛を背開きにして、その中にたっぷりの(銀杏・百合根・麻の実・きくらげ・人参・蓮根などを混ぜ込んだ)卯の花を詰め込んで蒸し上げる。背開きにするのは、腹開きが切腹を連想させ縁起が悪いとされる武家文化の影響だそうだ。嫁入り道具とともに花嫁が持参する鯛を、婿側が調理して招待客にふるまったのが始まり。「唐蒸し」の名前は、長崎を訪れた加賀藩の留学生が中国料理風の鯛のけんちん蒸しの調理法を持ち帰ったことにの由来する、とのこと。

今では出てくることがめずらしくなってしまったそうですが、こういう郷土料理は大切に受け継がれて欲しい。お祝いの席に歴史ある郷土料理を添えてくださったお心に深く感謝。