香老舗、松栄堂さん主催で今年40回目を数えるそうだ。その薄茶席のお手伝い。新立礼卓のお点前とお運び。立礼のお点前は初めての経験。寒さと緊張で手が震えて、お茶杓をうまくお棗の上に置けない。どうして緊張すると手が震えるの?というか緊張すると本当に手が震えて頭真っ白になるんですね(苦笑)
東寺のお庭でも桜が見頃で、まことに美しく、普段は入ることができない場所でのお茶席だったので、たいへん贅沢なお手伝いでした。
設えに使われた花入れはアウガルテン(ウィーン)の鶴首のような形の白い磁器。底が丸い、ちょっとユニークなもの。お花はバイモ。お水差しはジノリ、と立礼の野点ならではの楽しさ。
午後は交代で他のお席を回らせていただく。まずは点心席でお腹を満たし、御家流の聞香席とお裏さんの薄茶席。聞香席は「八重桜」という組香。三種類の香の内、一と二は予め試し聞きし、それにもう一つの香を加え、順不同で計三つ(一、二、ウ。ウが試し聞き、無試の香木)の香炉が廻り、順番を当て、予め下の名前を表に書いた和紙に、その順番を書いて提出。答えの成否、優劣を競うものではないとされるが、そこが人間の悲しい性。いや「私の」ですね。加えて鼻に覚えがあると思っているものだから、逆に邪念が入り、お粗末な結果に(笑)ともかく、最後に香元が「香満ちました」と言ってお開き。香りの中に身を置く優雅な世界のはずなのに、またもとほほ体験になってしまって凹む。お薄席で美味しいお菓子とお茶をいただいて気持ちを切り替えてお手伝いに戻り、ほどなくして無事終了。金堂と講堂の無料拝観のおまけつきだったので、春爛漫のお庭と共に堪能して、帰路につく。
自分の器の小ささと、連綿と続く歴史の深さ大きさ。「小さい自分」「駄目な自分」を受入れて前に進むことの難しさを、大まじめに考えるひとときであった。
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とき 平成25年3月31日 午前9時より午後3時まで
ところ 真言宗総本山 東寺(京都市南区九条町1番地)
香席 志野流 忍草社中
香席 御家流 聴雲会社中
薄茶席 表流 長生庵社中
薄茶席 裏千家 方圓庵社中
煎茶席 松月流社中
主宰 香老舗 松栄堂教室