2003年9月29日(月) 晴
コゼンツァは山に挟まれた谷間に築かれた歴史ある街。ガイドブックにはカラブリアのアテネとある。クラァティ川を挟んで南側が旧市街、北側が新市街。もちろん見どころは古い町並み。本にはとてもきれいな町並みとあったが、実際に歩くと使われていない建物も多く、薄暗い印象。しかし何度も言ったり来たり歩いていると、この街の魅力も分かってくる。やはり第一印象だけで決めつけては駄目だね。細い路地や階段を登ったり降りたりしていたら、またまたワインバーの看板を見つける。“DOC Wine Bar”階段を上がって中をのぞき込むと少し年配の女性がオープンキッチンで料理を作っている。何やら美味しそうな匂い。古い建物を利用したお店で、雰囲気もとてもいい。中に入って営業時間を確かめる。今夜はここに決まり!
丘の上の古城まで歩き、しっかりお腹を空かせて、オープンの時間に合わせてワインバーへ。どうやら1番乗り。2階の席に通される。料理を作る女性、ワインに詳しそうな男性、そして若いカメリエーレの三人で切り盛りしているようだ。家族なのだろうか。席に座って渡されたワインリストを見る。さすがワインバー、すべてのワインに作り手とヴィンテージが記されている。ワインの数も相当ある。男性に地元のお勧めワインを選んでもらう。料理はここもメニューはない。たぶん毎日変わるからだろう。メニューの説明を聞くとどれも魅力的。少しずつ色々と出してもらうことにする。この男性がとてもすばらしくこちらの気持ちを的確に掴んでくれる。気持ちのいい接客。出される料理はどれも美味しい!豪華な料理ではないけれど、ちゃんと手がかかったマンマの味。こう言うものが食べたかったと思わせる味。感激である。インテリアも古いものに新しいテーブルや椅子が上手く溶け合って、おしゃれだけれど温かみがあり、くつろげる空間になっている。そして前述したようにあうんの呼吸の接客なのである。正直なところこの街でこんなお店に出会えるとは思わなかった。どれも本当に美味しかったけれど、特に栗の粉とラルドのパンケーキのようなものにハチミツがかかり下にプロシュートが敷いてあったものが珍しくて印象に残る。カポナータに似た野菜の煮込みもとても美味しかった。その他にプロシュートとチーズの盛り合わせ、パンの入ったサラダとドルチェにヴィーノドルチェを頼んでたったの€40。しかも実際には€41なのに、€1はおまけだった。これは安いね。大満足。しかも数あるワインの中で勧めてくれたワインはたったの€10。高いものを勧めないその姿勢もいい!また来たいと思うお店。でもコゼンツァはちょっと立ち寄るという場所ではない。う〜ん、それが残念。
2003年9月30日(火) 晴
バスが街を離れ山間へと向かう。今までイタリアのどこにもなかった風景だ。道路は尾根を走っている。連なる山々。列車もこんなところを走っているのなら線路が落ちても不思議じゃないなと納得。途中羊飼いと羊の群れに遭遇。羊さんたちの可愛いこと!アクシデントのお陰で出会った光景。結果オーライのイタリアの旅。十分にバスの旅を楽しんでパオラに到着。ここからESで一路ローマまで、約4時間30分。ヴェスビオ火山までは初めての行程。車窓の旅を楽しんでいると長い時間も苦にならない。あっという間にローマ・テルミニへ到着。駅の喧騒が私たちの旅が終わったことを知らせてくれる。今夜ローマに一泊し明日は帰国フライトだ。東京へ戻る前からすでに心は次のイタリア旅行へ飛んでいる。文句もあるけれど、終わってみるとどれもが楽しい。それがイタリアの旅。また来年戻ってくるね、Cioa, a presto!