2008年10月1日(水・mercoledi) くもり ■海を目指せ!■

8時39分の列車に乗る。目的地はGenova。ここで同じく東京から休暇で来ている友人に会う。飛行機でぴゅっというチョイスもあったけれど列車の旅が好きな私たち。たとえ意味なく遅れても、列車を選ぶ。ミラノで乗り換え何事もなくジェノヴァに着いた。覚悟をして乗ればこんなものです(笑)宿はB&BSopra i Tetti。Via S. Lucaという夜は少々危険ゾーンと言われている地区にある(ただしその分ちゃんと警官がパトロールをしているので気を引き締めて歩けば夜も問題がないことが判明)。駅から荷物を引いて徒歩15分程度。B&Bに泊まるときの注意は、時間によっては家に誰もいないことがあり、突然行っても入れないことがあること。事前に到着時刻を伝えて最寄りの駅などから確認の電話を入れるのが確実。実はこのときうっかり連絡せずに宿へ。案の定オーナーは留守。荷物もあったので近くでもタクシーに乗ったのが幸い。運転手のおにーさんがオーナーのお母上という方にインターフォンで事情を話してくれ事無きを得る。しかしおにーさんにはしっかり心付けをねだられる。むむむ、お釣り分全部はいくらなんでも多すぎないかぁ〜!?と思ったけれどおにーさんがいなければ宿に入れなかったことを考え、大判降るまい!ともかく事前電話を忘れてはいけません。

夕方待ち合わせのホテルロビーへ。無事に友人とランデブー。まずはバールで近況報告。しかしジェノヴァはバールが少ないね。バールばかりのボルツァーノから来たせいか。お喋りも一段落。向かうのは旧市街のオステリア、Antica Osteria di Vico Palla。近くまで辿り着いたが肝心のお店の場所が分からない。通りがかった若い男性に聞くと、携帯のGPSを使って調べてくれた。やる〜!おかげさまで無事お店に。人気店のようで予約なしの私たちはテーブルが危ぶまれたけれど、なんとか次の予約時間までに滑り込ませてもらい、美味しい食事にありつく。Trofieというご当地パスタ、ツナと魚貝・海老入りラヴィオリ・フリットミストをリグーリアのヴェルメンティーノの白ワインと。Latte dolce frittoというお勧めドルチェにも挑戦。なんだか懐かしい味。エクアドル出身の若いカメリエーレ(剣道を習っているそうだ)も愉快。お店を出るときお土産と、詩が印刷されたお店のランチョンマット(気取らないお店では再生紙で作られた紙のマットをよく使う)を持たせてくれた。こういうちょっとしたことが心にしみる。

アルトアディジェの落ち着いた小さな町からやって来ると、久しぶりに訪れたジェノヴァの街は、まったく別の国へ来た印象だ。着いたばかりは戸惑いもあったが一日歩いてジェノヴァの空気をたくさん吸ったらだいぶ慣れてきた。すぐには良さが分からないのもジェノヴァだ。明日はもっと近づけるに違いない。

Photo:左 フェッラーリ広場 Piazza de Ferrari/右 Palazzo Rosso外観

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2008年10月2日(木・giovedi)くもり 晴 ときどき小雨 ■ムゼオ三昧■

Card Museiを買い、一日街を楽しむ。エドアルド・キオッソーネ東洋美術館 Museo d'Arte Orientale Edoardo Chiossoneへも足を運ぶ。恥ずかしながらこのときまで明治のお雇い外国人エドアルド・キオッソーネのことも知らなかった。異国で知る我が国日本です。Porto Anticoの再開発地区も堪能。再開発は建築家・Renzo Pianoのプロジェクト。この再開発地区の目玉は何といっても水族館 Acquarioらしい。確かに規模も大きく様々なことが学べるようになっている。隣接のBiosferaはレンゾ・ピアノが設計したガラスの球体の中に熱帯の生態系がミニチュアサイズで再現。こちらは小さくて少々拍子抜けでしたが、生態系などに詳しい人が見るとすごいのかも(笑)

その他、「イタリア海洋都市の精神」(陣内秀信著)を水先案内人にジェノヴァの街をクルージング。一般のガイドブックには載っていない、陣内先生のフィールドワークから得られた情報を参考に街を歩くのは楽しい。海に面したポルティコ(アーケード)の歴史。なぜこの街には広場が少ないのか。などなど。本を頼りに実際に自分の足で歩き目で見て理解を深めていく。ポルティコの上に立てられた住宅の幾つかは塔状にそびえる建築だったそうだ。今では上部が切り落とされ高さが揃えられている。唯一残っているのはモルキの塔だけ。今回泊まっているB&Bはこのモルキの塔 Crosa dei Morchiのすぐ裏手。窓からこの塔とPorto Anticoが望める。朝食をいただくのは屋上に設えられたガラス張りの部屋。外に出ると大パノラマが楽しめるという最高のロケーション。バンキ広場 Piazza Banchiもすぐ近く。この広場は小さいながらもジェノヴァで最も重要な商業広場とのこと。

夜は宿のお母さんに、最近評判がいいわよ、と教えてもらったIl Balcone。ジェノヴァ風ラザニア・ミネストラ・ハーブ入りラヴィオリのクルミソース・リグーリアの赤・カッフェ。合コンみたいなちょっとうるさいグループがいたのが難。サクッと切り上げて、明日に備える。

Photo:左 Palazzo rosso屋上から/右 水族館隣接のBiosoferaを望む

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2008年10月3日(金・venerdi)晴 ■ポルトフィーノへ■

11時20分の列車、S. Margherita経由Portfinoへ。私たちは再訪。友人は初めての訪問。駅へ行く途中メルカートオリエンターレ Mercato Orientaleへ寄る。楽しい!旅のお供にミカンとネクタリンを買う。S. Margheritaからはバスに乗る。さすがに有名なポルトフィーノ。バスはぎゅうぎゅう。バスを降りて一目散に港、じゃなくてリストランテ(笑)ちょうどお昼となりました。すでに目星は付けてある。この辺りは抜け目ない。すぐにお店「Da U Batti」も見つかった。

アンティパストミスト(海の幸)・ボンゴレのパスタ・オリーブのパスタ・スカンピ・パンナコッタ・フラゴリーノジェラートのせ・カッフェ・ハウスワイン・白ワイン(ヴェルメンティーノ/Lavi)。セコンドのスカンピは看板料理と言うことで頼んでみる。前菜から量を気にする日本人(笑)スカンピもどのくらいの大きさ?と尋ねる。う〜ん、それぞれ違うから一概には言えないなぁと困惑した表情のカメリエーレ。友人のnが「何本にする?」と言い出したので、二本じゃ分け難い?三本?どうしようか?と作戦会議。カメリエーレが二人前でいいと思うよというのでまずはそれに従う。分け難かったらまた追加すればいいものねと私たち。で、前菜からとても美味しくて大満足。お天気のいい日に外で食べるご飯のおいしいこと。ワインもいいし上機嫌。パスタも楽しんでいよいよセコンド。お皿が運ばれてきて大笑い。いやだぁ、数え切れないほどいらっしゃるじゃないスカンピ。小振りだけれど大盛り!日本のお店のように数匹おごそかに並んでいるのとは訳が違う。なるほどねぇ。こりゃ大きさも言えない訳だわ。どこか噛みあわない空気が流れていたのはこのせいね。声を出して笑ってしまった。で、看板料理。うまいっ!!オリーブオイルにレモン、何やら甘味も。ここでカメリエーレに質問。オーリオ?Si、レモーネ?Si、シャケットラ(地元のデザートワイン)?Segureto、えっ?なんですって!?秘密って日本から来た観光客に教えたって特に問題はないと思うけれど、何度訊ねても「企業秘密」と繰り返す。しかし決してNoと言わないところをみると当たりなんじゃないか。ともかくカメリエーレとのやりとりも楽しく、大満足の内に完食。食後酒のサービスもあり、帰り際には握手も求められた。やはり当たりだ、きっと(笑)

さて、気分上々でいよいよ港へ。懐かしい風景が広がる。あまり変わっていない。ほっ。前から有名な観光地だもね。でも観光地でもいい雰囲気。観光地=あまりよろしくない、となってしまう日本とここが違うのよねぇ、イタリア。古い物を古いままに(修復はされても)残しているから、劇的に変化してしまうことはないのだ。それが良くて毎年通っている訳なのよね。話を戻そう。まずは高いところを目指す。ブラウン城 Castello Brownへ。途中すれ違った観光客のおじさんに握手を求められた。なぜ? それにしてもブラウン城からの眺めは最高だ。ポルトフィーノの小さな港とカラフルな家々が箱庭のように見える。内部ではポルトフィーノを訪れた有名人のモノクロ写真の展示。さわやかに吹く風も楽しみ再び港へ。大きなクルーザーの男性がこちらを見ているのでチャオと手を振る。彼もチャオと手を振り返してくれた。港は、海は、人を大胆にする(大笑)ドラマと思われる撮影も行われていた。とにかく気持ちよく愉快な一日。ずっと笑っていたような気がする。

ジェノヴァに戻り、夜はバールで簡単に。明日はパヴィーアへ出立。もっと滞在していたいという気持ちを抱きながら眠りにつく。+つづく

Photo:左 Mercato Orientale/右 Castello Brownからの眺め

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