6月20日は従妹の結婚式。久しぶりのお祝い事である。お相手の仕事の関係で平日だが、仕事を休んで駆け付ける。運良くサッカーの試合もこの日はない(と行っても日本とイタリアが姿を消し、テンションは幾分下がっているけれど)。
実家に寄って母達と式場のバスに乗る。姉は一足先に会場入りし、着物を着ているらしい。自分の着付が終わったら母に着付ける段取りになっているようだ。姉は着付が出来る。前日の快晴からまた梅雨空に戻ってしまったが、その分緑がきれいである。そっか従妹はジューンブライドなんだ。
会場に着いて用意された部屋に向かうと、ちょうど姉が帯を締め終わるところだった。ナイスお姉ちゃん。ばっちりのタイミングじゃん。と姉を見ると何やらぶつぶつ文句を言っている。襦袢の衿がぴしっと治まらないらしい。それもそのはず、芯が入ってない。呉服に詳しくない方の為に解説すると、着物は、着物の下に襦袢という、スーツで言えばYシャツに当たるものを着る。で、衿は汚れるので取り外して洗えるように半襟というものを付ける。その半襟の下には三河芯と言う芯をつけて、衿がぴちっと整うようになっている。今は、この三河芯を使わず半襟をかけた後から芯を差し込む人も多い。で、姉の襦袢は後者になっていた。今まで三河芯を使って半襟をかけたことしか知らない姉は芯を差し込まずに襦袢を着たらしい。おいおい、君は上級師範の資格を持っているんだよ。それはおかしいと思わなかったのかい? その上、母に向かって、なんでちゃんとしておいてくれなかったの、と文句を言っている。何度も言うが姉は着付の上級師範資格を持っているのである。そんなこと自分でやりなさいっ。
母の荷物の中に、差し込み芯があったので、私が手伝うからもう一度着ようよと姉をなだめたりすかしたり。じゃないとずっと文句を言いそうだからね。しかしお式の時間まであと30分。姉が着て、母に着付けてもらわないといけない。しょうがないから私が出来るところまで母に着せることになった。私は今でこそ自分で着物を着られるようになったけど、着せたことは一度もない。「着られる」のと「着せられる」のとは違うのである。ましてや留袖、普段私が着ている紬や綿のちょいちょい着とは訳が違う。それなのに、そんなことは母も姉もお構いなしである。
ええい、ままよ。やってやろうじゃないの。
着物を手に取ると衿が二重になっている。下に白い布がついていた。なんでこんな風になっているの?と母に聞くと、それは留袖だからよ。んんん? 留袖だから何ナノだ。わからないままにいつも自分が着ているように母に着せていく。でも留袖は重たいし母は太っているし、何よりじっとしていないので、上手くいかない。それでもなんとか伊達締めまで締めて、姉の仕上がりを待つ。その間私は姉の助手ともなって健気に働いていた(涙)そんな姉は母のことなどお構いなしにゆっくりのんびり長女のマイペース。ああ、私も長女に生まれればよかったよ。ちなみに母も長女なのだ。(私は違う!と言う長女の方、ごめんなさい。)時間は刻一刻と過ぎていく。突然母が洋服で出ると言い出した。なんですって!慣れない私がそこまで着せたのに。今度は母をなだめすかして着物を脱ぐのを思いとどまらせる。ようやく姉の支度が終わって、姉が母の帯を締める。なんとかぎりぎり間に合った。しかしなんだか母の襟元が変よ。衿が妙に治まらない。???と思いながらも時間になってしまったので、そのままお式と親族の写真へ。他の留袖姿の人を見て、合点。そうかあの白いものは伊達襟だったのか。伊達襟と着物の衿を重ねて折ってしまったので、きちんと胸元が納まらなかったんだ。そう気がついてしまったら、真面目(!)な私は母の着物姿が気になってしょうがない。
なんで、あれが伊達襟だって気がつかなかったんだろう。でもはじめてだったんだから気がつかなくてもしょうがないよ。と自分を責めたり慰めたり。家に帰って母の着物を掛けながら、これって伊達襟だったのね。少し見えるように出さなくちゃいけなかったんだ、と姉に話したら、涼しい顔で、そうよ、だって。だったら私が四苦八苦しているときに、そうやって教えてくれればいいじゃん(涙)母に着物を着せるのはあなたの役目だったんだよぉぉぉ。
あ〜、疲れた。でも肝心の結婚式は、従妹はとてもかわいく、和気あいあいと良い結婚式でした。